ゴンと高野山体験プロジェクト〜

パンセ通信No.2 -『自分を変えて世界を変える伝統宗教のアプロ-チ』

Oct 19 - 2014

■2014年10月19日 パンセ通信No.2 -『自分を変えて世界を変える伝統宗教のアプロ-チ』

皆 様 へ

明日10月21日(火)も、16時からフィルムクレッセントで、パンセの集いを行います。

今回も前回に引き続いて、この『ゴンと高野山プロジェクト』の原点を考えることがテーマです。
そこでまず前回同様、しかし今度は少し違う角度から、高野山をはじめとする伝統宗教について考えてみることにします。

例えば私たちが、困難や行き詰まりに直面した時には、皆さんならいったいどうなされるでしょうか。
直感的には、2つの対応が考えられます
1.自分を困難に陥れている外的環境を変える。そして外側の障害を取り除く。
2.困難な状況の原因をつくり出し、そこから抜け出せないでいる、自分自身を変える。

通常は、困難をもたらす外的障害を取り除こうとあくせくするのが、人間の思考回路です。しかし外部の環境を、自分に都合よく変えるのは大変なことです。そこでまず、自分を変えてから外部に働きかけようとするのが、伝統宗教の智慧です。

ところで、自分を変えるためには、まず自分を知らなくてはなりません。そこである方法で、自分自身を見つめ直してみると、じつにいろいろなものが見えてきます。今まで思い込みに捉われていて、狭い視野でしかものごとを見ることが出来なくなっていた自分を、もっとのびやかで広く、自由な可能性の視野から捉えられるようになってきます。そして、自分が本当に大切にしたいものや、本当に心地良いと思うもの、そして他の人との支えあいの関係や深い気持ちのつながりなども見えるようになってきます。そうなると今度は、この確かなつながりの上に立って、自分の勝手な都合からではなく、他の人の気持ちや利害にも寄り添った、みんなの利益になる可能性も見えるようになってきます。すると次には、そのみんなのためになる可能性を実現しようと、外部に向けて働きかける意欲が高まり、それなりの働きと成果を残せるようになってくるものなのです。

昔の著名なお侍さんや政治家・経営者は、このことを良く知っていました。だからみんな偉いお坊さんや儒学者について、禅や論語を学び、そして自分を振り返ることで、自分自身の中に大切な拠り所を形成しようと努めたのです。 『パンセ・ドゥ・高野山』は、この伝統宗教の智慧を、普通の私たちが、普通に日常の生活の中に取り入れて、生き方を少し豊かにしていこうというプロジェクトです。

膨大な情報が溢れ、企業の広告やマスコミの論調に流され、何を判断の基準にしていけば良いのか、自分を見失いがちになる現代です。そしてこの国が、高齢化と人口減少の成熟社会に入って、これからのビジョンをまだ描けないでいる私たちです。しかしいろいろな捉われを打ち払って、本当に自分が大切にしたいもの、心地よいと感じるものを、自分の中に見出すことは、誰にだって出来ることです。そして心を素直に先入観を排して、本当にこの自分にとっての確信となる大切なものを求めたのであれば、それはきっと他の人にとっても、また後の世代にとっても、大切なものであるはずなのです。そうでないと、本当に自分の心が晴れやかに満足する確信とはならず、自分をごまかす思いが残るからです。

このように“自分を変える”というのは、外部を変えることが困難なために、あきらめて自分の方を環境に適応させるということとは、根本的に異なります。自分自身を見つめ直し、自分にとっても人にとっても良く、将来にとっても大切な拠り所を、自分自身の中に見出すということです。そしてその拠り所から、今度はみんなのために、外部の環境の困難を解決していためのアプローチを行っていくということです。その拠り所は、誰もがすでに自分自身の中に持っているのです。伝統宗教の中に蓄積された先人たちの智慧とわざは、そのように私たちが自分を開き、自分の拠り所に立ち、自由に解き放たれていくための手掛かりを与えてくれるのです。

先の見えない時代ですが、拠り所となるものは、すでに私たちの中に、私たちが素朴に大切にしたいと思うものの中にあることを、信じてみましょう。そしてその拠り所から、私たちが新しい自分を踏み出していく時、ジョン・レノンのように本当に心が大きくのびやかに広がって、どんなに悲惨な状況の中にあっても、Love & Peace の可能性で、世界が光輝いて見えるようになってくるのです。その能力は、人間であれば誰にでも備わっているものなのです。

そんな私たちの中の可能性を紡ぎだすことを求めて、明日の集いが行えればと思います。お時間許す方は、ご参加下さい。